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売上の拡大や企業買収で年々倍々に増える社員を収容し、働く場所を確保するためには、向こう数年の企業成長を予測し人数増に合わせたオフィススペースの需要予測を低位・中位・高位の3種類の成長率でシミュレーションし、自社ビルの増築を行っていたのです。
自社ビルでなく賃借の場合でも同じで常に先の予測を立てて対応策を検討しておかないと、社員が入社しでも働く場がないという事態に陥ってしまうからです。
上述の米国企業の場合には、もし予測以上に社員数が推移した場合には、ホテリングと呼ばれる社内の予約制貸しデスクスペース方式(ホテルの部屋を確保するのに似ていることからホテリングと名づけられている)やデスクの共有化、ホームオフィスの採用なども併せて検討されていました。
つまり、この段階ではあまり効率を重視するのではなく、ともかく現状の拡大に対応することが優先事項とされるので、コストよりも時間が優先されます。
収益額といった実額ではなく、比率によって収益性を分析するため、効率を求める経営指標ともいわれています。
これらの指標を経営分析に使用するだけでなく、目標値を定めて経営指標に使用します。
まず.ROAとは、下の式に見るように、資産をいかに効率良く使って利益を上げているかをみる指標ですが、資産が増加することはそれだけ資産購入の投資をしたことになり、同時に利益も上がらなければROA値は下がります。
つまり、投資効率をみることにもなるわけです。
また.ROAは総資産回転率と売上高利益率に分解できます。
総資産回転率は.1年間にど、れだけ資産を使って売上を上げたかを見る指標ですが、回転数が多いほど資産を上手く使って売上に結び付けていることになります。
たとえば50億円の資産を使って100億円の売上を上げているのと、50億円の売上を上げているのとでは効率が違うことがわかります。
前者は2回転なのに対し、後者は1回転でしかないのです。
固定資産の多いFMでは、こうした固定資産をいかにキャッシュ・フローに結び付けていけるか、資産の有効活用ゃあるいは非効率な資産の圧縮・除却提案が腕の見せ所となるのです。
売上高利益率は、売上に対する利益率つまり収益率をみる指標で、これも数値が高いほどよいのです。
FMとして利益を向上させるためには、経費の低減、つまりファシリテイコストの削減、あるいは低く抑えることがこの指標の向上に役立ちます。
ROEとは、株主資本に対する利益の割合のことで、株主資本つまり株主の会社持分に対する利益の割合、投資効率を示します。
ですからROE値が高いと、株主への配分利益が高くなることを意昧し、投資家・株主重視の経営をみる指標として採用する企業が増えてきました。
ROEのより高い目標を掲げることは株主への収益配分に注力しているという意思表示につながるわけです。
下の式に見るように、ROEは売上高利益率に総資産回転率と財務レパレッジ(自己資本を使って総資産をどれだけ増やしたか)をかけた式に分解できます。
ROAで使用する「利益」は、日本では経常利益(専門的には支払利息控除前の経常利益)を、そしてROEで使用する「利益」は、税引後当期純利益です。
ですから先ほどのROAの「売上高利益率」とROEのそれとは違うものですが、ROE値を高めるにはROA同様に売上高利益率および総資産回転率を上げることが必要です。
また、財務レパレッジ(総資産/株主資本)を上げることでROE値は上がります。
しかし、株主資本を減らす、あるいは自己資本比率を下げて借入金を増やしても財務レパレッジは上がるので、利益が増えなくても自社株の消却や負債を増やすことによってROE値が高まる(これをレパレッジ効果といいますにという問題点があります。
ですから、ROEを指標に持つ場合は、この問題点を念頭において活用することが大切です。
FMとしては、ROA値を高めるのと同じ施策、つまり資産の有効活用と非効率な資産の圧縮・除却、およびファシリテイコストの削減に注力することが必要です。
売上高も利益も増加しているのに株価が下がったり、企業の格付けが低下したりということがあります。
それはたとえば、利益率の高い売上受注に成功したが、支払いサイトの長い手形による代金回収が多かったために資産内容が悪化(受取子形の増加)したり、ある設備投資を行い売上、利益は増加したがROAが下がったようなケースです。
こうしたケースにおいては、売上高や利益といった指標だけで経営判断がなされると機会損失を招くことになります。
そこで新たな経営指標として注目を浴びているのが米国のコンサルティング会社であるスターン・スチュワート社が開発し商標登録されたEVA(EconomicVa1ueAdded:経済付加価値)という指標です。
EVAは、売上高や利益などの「規模」を示す指標に比べ、その売上・利益を得るためにどれだけの資本を投入したのかの効率性を金額数字で示します。
同じ効率性をみる指標である.ROAやROEが「率」で表すのに比べて「絶対額」であることが重要です。
たとえば.EVAは次の式で求められますが、売上も利益もROAも増加しているのにEVAが低下することがあります。
EVA=税引き後事業利益一投下資本×資本コスト率ここでいう税引き後事業利益とは日本の財務会計上では該当する項目はなく、簡単にいうと「営業利益+支払い利息を除く営業外損益一税金」つまり支払い利息控除前税引き後営業利益ということになり.NOPATと呼ばれています。
また、投下資本とは「株主資本額と有利子負債額」の合計であり、資本コスト率は「特別経費一減価償却費と資本コストの算出法」で少し説明しました。
要するにEVAの考え方は新規投資に関わる投下資本には、借入金や社債などの有利子負債に対する支払い利息というコストだけでなく、株主資本にも配当金というコストがかかっているのでこうした投下資本にかかる利子・配当金などの資本コストをすべて控除した利益額で企業の付加価値を見てみようとするものです。
株主資本コストについては、第3章では配当金としましたが、ここでは投資家の期待収益を含むコストとしており、その意昧からも株主重視の経営指標であるといえます。
についてはコスト削減や遊休資産の見直しにより利益を増加させることであり、については非効率な資産については圧縮・除却を行っていくことによる投資回収が考えられます。
そして、これらは正にFMに関係する問題であることがわかります。
経営指標とFMの位置付けをみてきましたがFMが経営に直結するマネジメント分野であることがお分かりいただけたと思います。
いずれの経営指標をもってもFMからの課題解決を求められますし、対応、は可能です。
特に、減損会計が導入されると固定資産の資産管理がより厳しくなります。
しかし、FMIこ関する専門セクションがなく、管理会計に基づくデータベースの構築もなし、という状態では必要な経営判断材料の提供が必要時に行えないと思われます。
FM専門セクションの創設と、FMを行っていく上で最も重要なファシリテイコスト・マネジメントの立ち上げが必要なのです。
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